自分に合う軽貨物の企業や求人の選び方
東京をはじめとした都心では軽貨物業界において人手不足が進行しており、需要が高まりつつあるため起業を志す方から注目が集まっています。しかし仕事が多いとはいっても、取引をする企業や求人の選び方次第で失敗してしまうため注意が必要です。ここでは東京で軽貨物業を始めようとしている方に向けて、優良な企業や求人の選び方を解説します。
もくじ
仕事内容と報酬をくまなくチェックする
軽貨物業に限らず、すべての業界・業種にいえることですが、仕事の内容をくまなくチェックするのは必須です。運送業という性質上、拘束時間や期間により今後の動きが変わるため日時・期間についてはとくに見ておきます。
運ぶ対象とその分量、1ヶ月内の仕事の件数も当然ながら注意して見ておきます。激務で身体を壊しては元も子もないですが、仕事量が少なすぎる場合は事業が成立しません。求人情報に記載されている情報を読み取り、1ヶ月における勤務日数や1日の拘束時間、売上見込みなどを把握することに努めましょう。
固定給ではないため、報酬は仕事量で左右されます。宅配の仕事であれば、担当エリアによって作業の物量が固定されておりそれにより売上も決まって来ます。東京で独立を目指している場合、売上の多さは生存率に大きく影響するため仕事量の多さは重要です。
この場合は固定給よりも、インセンティブ制を採用している運送会社の方がよいかもしれません。なお運送会社によっては独立を支援してくれる企業もあり、起業してから数ヶ月間は売上を保証してくれるところもあるため条件を確かめつつ選びましょう。
目先の報酬だけでなく仲介手数料も見る
報酬や仕事内容は月々の売上を左右する大事なポイントですが、同じく請負で業務を行う場合は仲介手数料も非常に重要です。求人や企業によって異なりますが、仲介手数料は固定の場合と売上に連動しているケースの2つが挙げられます。中には手数料が高額に設定されているケースもあるため、一社だけで決めずに複数の会社の似た様な案件を並べた上で比較して決めるようにしましょう。
注意したいのは、運送会社と一旦業務委託契約を結んでしまうと後から仲介手数料の安い別の会社を発見しても変更するのに時間と手間がかかることです。さらには大手の運送会社の中には、別の運送会社へと乗り換えて同じ仕事を請けることを許可しない場合もあります。
たとえば元請けの大手運送会社が、2つの小規模運送会社に対して仕事を振っているとします。よく調べずに2つの小規模運送会社のうち、仲介手数料が高い方と業務委託契約を交わしたとしましょう。数ヶ月後にもう一方の小規模運送会社の方が手数料が安いことに気付き、そちらと契約したい旨を元請けの大手運送会社に相談することにしました。
しかし、手数料の安い小規模運送会社への乗り換えを許諾していないため、契約期間の間はずっと高い手数料を払い続けることになったというケースは非常に多いです。
車両リースもしくはレンタルとその条件を見る
独立して軽貨物業を開始したいけれど、事業用の車両を持っていないという方は導入する策としてリースも視野に入ります。求人を選ぶ際の条件として記述したのは、運送会社が仕事の割り振りだけでなくリースも行っている企業が多いからです。ただ同じくらいに気を付けた方がよいのが、この仕組みを利用した悪徳商法です。
普通の運送会社を利用するだけならよいのですが、中には仕事をたくさん斡旋すると約束しておきながら契約後は予定の半数も仕事を振らないという悪質な業者も存在します。仕事量が少なければ報酬も当然ながら少なく、毎月の支払いも滞ってしまいます。結果的に生活が立ち行かず仕事をやめる羽目になり、残ったのは車両の支払いだけという悲劇です。
完全な未経験者で車を所有していないのであれば、リースではなくいつでも返却できるレンタルで開始した方がよいです。中古車を探すのもよいですが、いくら新車より安いといっても数十万円は下りません。長い目で見れば確かに購入した方がお得ですが、まだ続くかどうかわからない段階であればレンタルを実施している企業と契約した方が無難です。
加盟金やロイヤリティについても確認
大手ブランドを使用できるという点で有利であるため、フランチャイズに加入する方も多いことでしょう。その際には加盟金が必要となるため、加入した際のメリットとその支払金とで釣り合いがとれているかをしっかりと見極める必要があります。
フランチャイズの強みは名が知れている分、仕事の斡旋が確実に受けられる点です。ただしフランチャイズだからすべて安心という訳ではなく、その団体・企業によって規模や仕事量すなわちネームバリューは大きく変わります。加えて研修やサポートについても、団体ごとで異なるため加盟金に見合った価値が得られるかどうかを、よく考えた上で契約するようにしましょう。
運送会社でもフランチャイズでも、契約する際に注目したいのがロイヤリティです。売上額からロイヤリティを引いた金額が、おおよその手取りとなります。単に売上だけを見るのではなく、最終的な手取り額がどうなるかを見ることが大切です。
軽貨物業では、ドライバーの収入の基準は業務委託の内容によって異なります。また通常の業務の他に、一定の水準以上の成果を出した際には報奨金が上乗せされる仕組みが採用されている企業もあります。
続いてロイヤリティは、フランチャイズや元請けの運送会社との契約で定められた手数料です。手数料は売上に応じて変化するパーセンテージタイプと、額が動かない固定金額タイプの2つです。売上からロイヤリティを引いた額が手取りに該当しますが、この手取額は売上の70〜95%と幅は広くなっています。
任意保険・貨物保険の契約面も忘れずに
請負契約で事業展開するのであれば、保険の契約もチェックポイントです。求人先が加入している場合は必要ありませんが、個人に委ねられている場合は契約者側が加入しておかなければなりません。軽貨物業の場合、保険の負担額は決して安くないため必ず確認しましょう。
保険の種類は大きく分けて2種類であり、そのカテゴリ分けは補償範囲で決まります。まずは幅広いケースに対応するタイプがあり、故意に荷物を破損するなどの一部の例を除いてほとんどが補償を受けられる保険です。盗難や事ゆえによって生じた荷物の破損に加えて、荷物を放置したがために雨で濡れてしまったというケースも充当してくれます。補償が手厚く安心感も強い分、保険料も割高になっているのがネックです。
次に、業務中に発生しがちなトラブルのみ対応するタイプを見ていきましょう。冷凍便を通常のトラックで輸送して腐らせてしまったり、水や泥で荷物が汚れた場合など自身のミスによって生じるトラブルを対象外にすることで、保険料を削減できます。たとえ範囲を狭めていても、運転中の事ゆえによる損傷や保管中の荷物が火事・天災で駄目になった場合に充当させることは可能です。
社員として働く場合に求人を見る際のポイント
請負契約ではなく、企業のドラバーとして所属する「会社員」になる場合のチェックポイントも見ていきます。まず注目したいのは残業についてであり、その理由は他の業種に比べて拘束時間が長いからです。残業の有無をよく見ること、残業がある場合は残業代が支給されるかどうかも厳重にチェックしてください。
見なし残業・固定残業を取り入れている企業は、いうまでもなく地雷です。続いて労働時間についても、きちんと見ておくべきです。運送業は拘束時間が長いことが前提となっていますが、それでも12時間を超えるような労働時間は異常といえます。
繁忙期やその荷物量にもよりますが、明らかに違法と思える拘束時間を強いてくる企業に近寄ってはいけません。大手の運送会社であれば心配ありませんが、下請けの場合は給料の支払いに関しても注意が必要です。入金のサイクルが他の業種よりも多い運送業界において、下請け企業が資金繰りに躍起になっているケースが非常に多いです。事前に調べるのは困難かもしれませんが、知り合いや前の職場の伝手を活かして調べるに越したことはありません。
もし実際に入社して、給料の未払いや支払いの遅延が生じたら労働基準監査署に早めに相談しましょう。なお求人広告そのものに関しても、確認すべきポイントです。地雷となりやすいのは長い間求人広告を出している企業であり、労働環境や人間関係など人が居着かない理由が必ずあるからです。
請負契約を結ぶ上でも入社する上でも、労働条件や報酬を確認するのは必須です。しかし事業用の車両の調達や事業を運営する際に必要な保険、フランチャイズへの加盟など細かい部分については見逃しやすいです。開業した際の事業をどういう風に展開していくかを考えた上で、その条件に見合った企業・求人を探すようにしましょう。